ルカ伝を読んでたら、
「あなたがたの父が憐れみ深いように、あなたがたも憐れみ深い者となりなさい。」
(ルカによる福音書 第六章 第三十六節 新共同訳)
という言葉が心に響いたので、英訳もいろいろと調べてみた。
そうしたら、”The Amplified Bible”(詳訳聖書)というものの英訳がとても面白かった。
以下のようになっている。
“So be merciful (sympathetic, tender, responsive, and compassionate) even as your Father is [all these].”
(Luke 6.36 Amplified Bible)
この詳訳聖書というのは、ギリシャ語原文から英訳する時に、一語ではあらわせないニュアンスは、本文にカッコでいろいろと詳しく書き込んでくれているというとてもありがたい英訳である。
これによれば、”merciful”(憐み深い)と訳されている“οἰκτίρμονες”というギリシャ語は、ただそれだけの意味にとどまらず、共感すること、優しいこと、敏感であること、情け深いこと、などの意味も含むそうである。
つまり、天の父(神)が人に対して、憐み深く、共感してくれて、優しく、敏感であり、情け深いように、あなた自身もまた他の人に対して、憐み深く、共感し、優しく、敏感で、情け深くありなさい、というのが、この一節の意味なのだろう。
キリスト教徒でなくても、たとえば浄土真宗の者ならば、阿弥陀如来が自分に対して憐み深く、共感してくれ、優しく、敏感で、情け深くあるように、自分もまた他の人に対してそのようであるように心がけるべきなのかもしれない。
とはいえ、キリスト教徒と異なり、どうも念仏者はそういう努力をともすれば忘れがちかもしれない。
それにしても、やっぱり、何事も、原文を読まないと細かな深いニュアンスはわからないのだろう。
新約聖書はギリシャ語で、旧約聖書はヘブライ語で、ダンマパダやパーリ語で、無量寿経はサンスクリット語で読んでこそ、はじめてよくわかるものなのかもしれない。
なかなか自分はそこまでできないので、せめても新約は詳訳聖書を参考にしながら当面は読みたい。
が、いつかは、それぞれ原語原文で読みたいものだなぁ。