- 作者: ジャクリーンウッドソン,E.B.ルイス,Jacqueline Woodson,E.B. Lewis,さくまゆみこ
- 出版社/メーカー: 光村教育図書
- 発売日: 2009/12
- メディア: ハードカバー
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主人公の少女の母親は、遠いシカゴに、汽車の洗浄の仕事の出稼ぎに行く。
当時は、黒人の女性がつける仕事はあまり多くはなかったようで、戦争で男性が大幅に減ったために、シカゴではそうした仕事があるとのことだった。
冬の日々を、主人公の少女は、おばあさんと猫と一緒に過ごす。
なかなか母からの手紙もお金も届かない。
心細い中で、せっせと手紙を書いて出し続ける。
最後には、母親からもうすぐ帰るという手紙とお金が届き、とても安心し、喜ぶ。
という絵本。
読みながら、この家にお父さんはいないのか。
単に出征なのか、そうであれば給与などがあるはずだから、もっと前からいないのか。
いないのはなぜか。
おじいさんもどうしていないのか。
など、いろいろと考えさせられる。
それらは一切この本では語られないけれど、あの時代であれば、普通の離婚や病死の他に、KKKに殺されたとか、そんな話もざらにあったのかもしれない。
あるいは、すでに大戦の初期に戦死してしまったのだろうか。
また、裕福な家であれば、お母さんがわざわざ遠く出稼ぎに行く必要もなかったのだろう。
だが、そうしたことは直接的には一切語られず、ただ淡々と、その冬の毎日の暮らしと主人公の心情が綴られるだけのこの絵本は、そうであるからこそ、不思議と余韻の残る作品になっていると思う。