モーパーゴ「フラミンゴボーイ」を読んで

マイケル・モーパーゴ『フラミンゴボーイ』を読み終わった。
子ども向けの小説なのだけれど、内容は深く素晴らしかった。
第二次大戦中の南フランスが舞台で、ロマ人の少女と自閉症の少年が主人公で、フラミンゴがたくさん住む美しい湿地の自然を背景に、モーパーゴならではの語り口の物語が展開される。
ラストではいつものことながら泣かされた。
物語の中では、小学校の中でめずらしくロマ人を差別しなかった優しいユダヤ人の先生が強制収容所に送られて亡くなったことや、主人公のロマ人の少女の両親も強制収容所に入れられて健康を害して大変な目に遭う様子も描かれる。
ロマ人やユダヤ人や障害者などの「普通ではない」とされた人々が、残酷に迫害を受けて殺害されたのがあの時代でありナチスというものだったわけだけれど、二度とそういうことがないように、こういった良い物語を小さい頃から、あるいは大人になってからであれ、いろんな人に触れて欲しいと願うばかりである。

 

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