ドラマ『オスマン帝国外伝』のシーズン3を今日見終わった。
毎回、楽しみに見てきた。
シーズン3を振り返ると、大宰相イブラヒムの唐突な処刑が、やはり最も衝撃的だった。
イブラヒムは実在の人物で、奴隷から身を起こし、28歳で大宰相になり、43歳で唐突に死刑となった。
史実でも皇帝スレイマンと大宰相イブラヒムの時期がオスマン帝国の最盛期だったそうで、スレイマンの対外政策が活発で成功していたのはすべてイブレヒムが生きていた時代までだった。
イブラヒムはスレイマンの妹のハティジェを妻としていたが、ドラマではハティジェも自殺して哀れだった。(史実では名前が出てくる史書があるぐらいで、ハティジェのことはあまり詳しくわからないようである。)
また、シーズン3の最終回では、皇子メフメトも突然死んでしまい、哀れだった。
栄耀栄華を誇った皇帝スレイマンも、腹心や子どもの死など、心痛の種は絶えなかったのだろう。
ドラマを見ながらあらためて興味深かったのは、オスマン・トルコが全く民族にこだわっていない様子である。
スレイマンの寵姫ヒュッレムはウクライナ出身の奴隷から一躍成り上がった人物だし、大宰相イブラヒムはギリシャのパルガ出身、イブラヒム処刑後の大宰相になったアヤスはアルバニア出身、ヒュッレムの娘のミフリマーフと結婚して宰相になったリュステムはクロアチア出身と、後宮や廷臣たちの民族構成は本当に帝国全土に渡り多様である。
のちの国民国家の時代以後の常識は全く通用しない、皇帝とイスラム教によってゆるやかに統合されていて、人種や民族とは関係なく能力と幸運さえあれば出世できるシステムだったのだなぁと、ドラマを見たり本を読んでてあらためてオスマン・トルコは興味深く思えた。
また、ドラマには法学者エブッスードも登場していたが、史実でもスレイマンはエブッスードと法制度の整備に努めたそうで、スレイマン没後は暗君が多かったオスマン帝国が、とにもかくにもゆるやかに衰退しながらもその後長く命脈を保ったのは、この時につくりあげられたシステムがそれなりによくできていたからだったようである。
スレイマンは「立法者」とも呼ばれていたそうだが、実質的な実務はエブッスードが担っていたようである。
あと、ドラマにはちらっと登場したぐらいであんまり登場しないが、建築家のシナンは天才的な建築家だったらしく、夢枕獏が小説にしているそうで、それもいつか読んでみたいと思った。
また、ドラマを見ながら印象的なのは、スレイマンが教養人であり、ムヒッビーのペンネームで多くの詩を書いていることである。
そういうのも、世襲の帝国の時代だったからこそありえたことで、もはや民主主義の世の中では一国の指導者がそのような教養人であることはあまり望むべくもないことなのかもしれない。
シーズン3ではまだ皇子ムスタファは存命だったので、これから先のシーズン4でムスタファの悲劇は描かれるようである。
シーズン4が日本のBSで放映されるのはいつになるのだろうか。
早く放映して欲しいと思う。