星野道夫 「極北に生きる人びと」

極北に生きる人びと―アラスカの詩

極北に生きる人びと―アラスカの詩



すばらしい本だった。


写真もとてもすばらしかったけれども、星野道夫さんの文章が本当にすばらしかった。


アラスカの大自然と、その中で生きているさまざまな人々のエピソードを星野さんの文章を通じて読んでいると、人間が本当に生きるというのはどういうことか教えられる気がする。


はかりしれない悲しみを、アラスカの自然によって乗り越えきたある家族の話や、白人への憎しみをなかなか若い頃は消せずにいたあるインディアン出身の男性が、ある時に憎しみを捨てた時から人生が変わったと語る話を読んでいると、人生や自然の深さというものを、ほんのかすかながら、私も垣間見た気がした。


星野さんが言うには、なぜ人間のいる景色が面白いかというと、人間には共通点と多様性があるからだという。
共通点というのは、誰しもが一度きりの人生をより良く生きたいと願っているということ。
そして、その願いの共通点から出発しながら、無限なほど多様な生き方がそこから分かれ出ているのが、人間の面白いところなのだと。
たしかに、そのとおりだと思う。


人生をあるがままに受けとめ、自分の中を流れる川に沿って生きているあるお年寄りの話や、八十近くなってもアラスカの大自然に冒険を試みる二人のおばあさんの話なども、とても素敵な話だと思った。


本当に魂の糧となる、すばらしい一冊だった。