- 作者: 星野道夫,Robert A. Mintzer,ロバート・A.ミンツァー
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2005/04
- メディア: 単行本
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星野道夫さんが生前、中学生に向けて行った講演を本にしたもの。
とても良い内容だった。
星野さんが、少年の頃、アラスカの自然に憧れて、古本屋で手に入れた写真集をいつも繰り返し読んでいたこと。
その中に、シシュマレフ村という小さな村を飛行機から撮った写真があり、何のつてもないけれど、どうしても行ってみたいと思い、名前も知らないその村の村長に宛ててホームステイの申し込みの手紙を書いたこと。
そして、なんと半年後に返事が来て、その夏をシシュマレフ村で過ごしたこと。
その時のかけがえのない体験から、どうしてもアラスカの自然とともに過ごしたいと思い、大学で友人が事故で死んだこともあり、人生の短さとだからこそ大切に生きるべきだという考えから、カメラマンをめざす道を選んだこと。
そして、アラスカに渡り、今に至ったこと。
そうした今までの人生と、数多くのクマやカリブーや、さまざまな生きものたちの出会いや大自然のすばらしいエピソードを交えながら、とても面白く語られた内容だった。
そして、ラストの言葉が、とても胸を打つ。
「いい大学に入って、いい会社に入る、そういう形も人間の生き方の一つでしょう。
でもそうではなく、もっといろいろな生き方を選択する機会がある、ということをいつか分かってくれたらと思っています。
僕らの人生というのはやはり限られた時間しかない。
本当に好きなことを思いきりするというのは、すごく素晴らしいことだと思います。」
本当に、人生の時間の長さは限られているし、そうであればこそ、本当に大切に自分の本当に納得のいく生き方をすべきなのだろう。
星野さんの講演を、中学の時に聞くことができた人々は、とても幸運で幸せだったと思う。
だが、直接はその講演をその時は聞くことができなかった我々も、この本を通じて読むことができて、とても幸運と思う。
柳田邦男さんの解説もついていて、それも本当に共感させられることが多かった。
多くの若い人、そして多くの大人にも、読んで欲しい一冊と思う。