- 作者: 吉野源三郎,向井潤吉
- 出版社/メーカー: 童話屋
- 発売日: 2003/12
- メディア: 新書
- クリック: 16回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
とてもわかりやすく生き生きとリンカーンの生涯を描写し、本当に胸を打つ、素晴らしい本だった。
著者の吉野源三郎さんは岩波文庫の『君たちはどう生きる
か』の著者。
小さい頃からリンカーンが好きで尊敬していたそうで、この本の第一部から第三部までは戦前に、第四部は戦後になって書かれ、最初に書かれた時から三十年ぐらいかけて手を加えて、できあがっているそうだ。
子どもにも読むことができるように書かれているが、大人が読んでもとても胸を打つ、日本における最良のリンカーン伝のひとつだと思う。
リンカーンの生き方と、折々の言葉と、苦難や困難を乗り越えて果敢に忍耐強く挑んでいく勇気に、本当に深い感銘を受ける。
そして、著者の吉野さんが述べているように、生涯を通じて、「普通の人々」(コモン・ピープル)と同じところに立ち、その人々と共に生き、そのために尽くした生き方と人格こそ、リンカーンの最も尊いところであり、後世に光となっているところだと思う。
この本をもっと子どもの時にしっかり読んでいれば、もっと自分の人生も良かった気がするが、今せめてもじっくり読めて本当に良かった。
リンカーンは、小さい頃から繰り返し繰り返し、聖書やワシントン伝などのごく数冊の本を熟読して自分の精神を養ったそうである。
このような良い本をしっかり読むことこそ、最も人間の精神を培い養うことのように思えた。
リンカーンが、貧しさの中にも努力し続け、あそこまでなったというのもすごいし、政敵を自らの仲間にしていったことや、南部に対してもあくまで融和と、戦後は許しと寛容を説き続けて実行したというのは、本当にすごいことだと思う。
他にもいろんなリンカーン関連の書籍を読んで、またしばらくしてから、この本をしっかり読み直してみたい。