南北戦争の頃の人物の写真

南北戦争の頃の人物の顔写真を見ていて、本当に人間の面構えというのはその人の精神を現すというか、立派な人物というのは風貌も立派なものだとほれぼれとさせられた。


フレデリック・ダグラスは黒人出身で、奴隷の貧苦の境涯の中からほぼ独学で学問を身につけ、自伝を書き、それが当時では異例のベストセラーになり、黒人解放のひとつの原動力になったそうだ。
まだその自伝を読んだことがないので、今度読んでみたいと思う。




リンカーンも、貧苦の中から己の力で身を立て、大統領にまでなった。
しかし、生涯を通しておごることなく、率直な人柄だったそうだ。
残された言葉の数々を読んでも、その叡智に驚く。
リンカーンもまた、ほとんど独学で、数少ない書物を繰り返し読むことで、あれほどの智慧を身につけた人物だった。


一方、リー将軍も、本当に立派な容姿の人物と思う。
いまどき、俳優にもめったにいない品格と端正さを兼ね備えた顔だと思う。
一朝一夕にはこういう顔はできないのだろう。
リー将軍自身は奴隷制反対だったそうだが、愛する郷土のために南軍を率いて、圧倒的に不利な兵力と物量の中で当初は互角以上に闘った。
最後、もはや勝ち目がない状態に追い込まれると、ゲリラ戦を続けるべきだという他の意見を抑えて、潔い降伏を選択したことも、リー将軍の立派な決断の一つだったと思う。



日本も、ほぼ同時代の幕末の人々の写真を見ていると、驚くほど立派な面構えをしている。
それと比べて、今はどうなのだろう。
アメリカはオバマさんなど見ていると、あまりあの時代にひけはとらない気がするが、日本ははたしてどうなんだろうか



ギャリソンは、アボリショニスト、つまり奴隷制廃止のために尽力した人で、早くから熱烈な奴隷解放の主張を掲げ続けた人物。
過激なイメージがあったのだけれど、顔写真を見ると、とても優しそうな、穏やかそうな人という印象を受ける。
フレデリック・ダグラスとともに、奴隷制撤廃の世論をつくるのに最も中心となった人物ではあるけれど、その背後には、深い人間への愛があったのだなぁと顔からも察される気がする。








一方、こっちは、南部の大統領だったジェファーソン・デイヴィス。
写真ではなくこれは肖像画だが、高潔な雰囲気が伝わってくる。
「決して謙虚な人に高慢であってはならないし、高慢な人に謙虚であってはならない。」というデイヴィスの言葉は、なかなか印象的。
デイヴィス自身は奴隷制不支持だったそうだが、地方分権論者だったため南部の大統領になった。
南北戦争後も南部の大義を説き続け、清廉な人生を送ったらしい。
彼もまた、瘠我慢の精神をよく体現した人物だったように思う。





これはグラント将軍の写真。
グラントも、なんだか50年代頃のハリウッドの西部劇にでも登場しそうな人物だと思う。
ごく普通の貧しい家に生まれ育ち、士官学校での成績もぱっとしなかったが、実戦では大功を立て、最終的には大統領にまでなった。
素朴な人柄だが、戦場では勇猛果敢だったようだ。
北軍が勝てたのは、グラントの功績も大きかったのだろう。







(追記)


フレデリック・ダグラスの生涯を描いたドラマがyoutube上にあった。
なかなか面白かった。


こちらはドキュメンタリー。