- 作者: シャルルペロー,ロベルトインノチェンティ,谷本誠剛
- 出版社/メーカー: 西村書店
- 発売日: 1989/05
- メディア: 単行本
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ロベルト・インノチェンティが描くシンデレラの絵本。
とても面白いのは、普通シンデレラといえば中世の景色や服装で描かれるもののはずなのに、この絵本は、第一次世界大戦前後の頃のイタリアのような、日本でいえば大正の頃のモガのような恰好をしている。
自動車も描きこまれていて、どう考えても中世ではない。
と思いきや、中世っぽいところも描かれていて、なんとも不思議な、いつの時代かわからない絵となっている。
何分、小さい頃に読んだきりなので、シンデレラの詳しいストーリーなど忘れてしまっていたが、シンデレラって「灰かぶりさん」という意味だったんだなぁと、あらためて驚いた。
継母や義理の姉たちのいじめにもけなげに耐えて、心根をきれいに持ったまま甲斐甲斐しく働くシンデレラ。
そんなシンデレラを、必ず見てくれている人がいる。
という、主要なストーリーはもちろん覚えていたのだけれど、不思議な絵とあいまって、こんな面白い話だったんだなぁと、あらためて驚かされた。
シンデレラは自分をいじめた姉二人を許して、自分が王子と結婚すると同時に姉二人も大臣たちと結婚させてめでたし、めでたし、という話なのだけれど、
この絵本では、一番最後の絵は、娘たちが去っていった後の継母がアルコールの空き瓶を床に転がしてひとりむなしく窓辺に座る絵が描かれている。
これもたしかに、小さい頃は考えもしなかった、シンデレラとその姉たちが去っていったあとの継母の荒涼とした心の様子が描かれてて、なんだか考えさせられる。
結局、人は、どのような心で生きるかが、どのような結末を迎えるかにとって一番大切なのかもなぁ。
昔話というのは、深いものである。
そんなことをあらためて教えてくれる絵本。