「図説 ドイツの歴史」

図説 ドイツの歴史 (ふくろうの本)

図説 ドイツの歴史 (ふくろうの本)


わかりやすく簡潔にドイツの歴史がまとめてあって面白かった。


ドイツも随分と苦難の歴史だったなぁとあらためて感じさせられた。


また、戦後のドイツの歩みを見ていると、同じく敗戦国ながら、いろんな点で日本と異なっていて考えさせられた。
特に、西ドイツでは戦後に何回か適度な政権交代が行われてきたこと、社会民主党が日本の社会党と違って早い段階でゴーデスベルク綱領を採択してマルクス・レーニン主義を放棄して政権交代の一方の担い手となったこと、68年における学生運動などがあまり何の具体的影響も残さなかった日本と異なり緑の党などをきちんと生んでいったことなど、は日本と比較した時にとても興味深く思えた。
また、第二次大戦への「想起と継承」「過去の克服」などへの取り組みや、フランスやポーランドとの共同教科書づくりなどもあらためて興味深かった。
欧州統合への率先した地道な取り組みも、たいしたものだと思う。


日本とドイツとでは、地理的条件が異なるところもあるし、一概に単純に比較はできないが、日本のありかたについて考える際に、ドイツはやはりいろんな意味で参考になる国なのかもしれない。


個人的には、プロシアが統一に取り組んでいく時期や、帝政期のドイツもとても興味深く、いろいろあらためて調べてみたいと思った。


にしても、1950年代まで、西ドイツのアンケートだと、ドイツの最も良かった時期は帝政期・ナチスがそれぞれ四割で、ほとんどヴァイマル共和国という回答がなかったのには驚いた。
その後、段々、帝政期・ナチス期への懐古は減っていって、西ドイツや東西統一ドイツを高く評価する声が高まっていったようだが、ヴァイマル共和国は国民の実感としては最悪の時代で、帝政期やナチスは、戦後を除けばもっとも良い時代と受けとめられていたようである。


戦後のドイツのアイデンティティ形成の歩みも、なかなか興味深かった。