- 作者: 石ノ森章太郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1994/02
- メディア: 単行本
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石ノ森章太郎の、「マンガ日本の歴史」現代篇の三巻、「大戦とデモクラシー」を読んだ。
この巻は、大正時代について描いてあるのだけれど、大人が読んでも相当面白い。
てっとり早く、大正時代を思い出すには良い一冊と思う。
桂内閣を第三回憲政擁護大会が退陣させるほど、大正時代のデモクラシーへのうねりや庶民の力は強かったんだなあと、あらためて驚かされた。
米騒動も、すごかったなぁと思う。
山本権兵衛内閣が、官僚の人員整理を断行し、歳出総額の11パーセント分も財政削減を実現した、というのも、今の政治のありかたと比べた時に、いろいろ考えさせられるエピソードだ。
黎明会も非常に興味深く、一度きちんといろいろ調べたいと思った。
大正も、もちろんいろんな側面があったのだろうけれど、戦前にあれほどのリベラルでデモクラティックな文化や思潮が、とにもかくにも興ったのは、なかなかすごいことだったと思う。
「大正時代を学べば先が見えてくる」という説がある。
ちょうど百年前の大正時代を読み解けば、これから先が予見できる、という説である。
たしかに、そうかもしれない。
良い面も、悪い面も含めて、いまもう一度、大正時代、あるいは世界史における第一次大戦前後を検討することは意義深いように思う。
大正時代の日本は、第一次大戦の時期でもある。
第一次大戦へのあの時の日本の対応、つまり、1、対中権益拡大、2、対米摩擦、3、軍拡、という三つの路線が、第二次大戦の悲劇の遠因になったという説もあるが、たしかにそうかもしれない。
いろいろ、もう一度、大正時代、および第一次大戦について、日本は再検討することが、ちょうど百年経ったいま、大事なのかもしれない。