現代語私訳 善導大師 「般舟讃」(念仏讃歌)  第三十一節

現代語私訳 善導大師 「般舟讃」(念仏讃歌)  第三十一節




下品上生の凡夫たちは、
(浄土への往生を願います)


ことごとく十悪(十善戒に違反した罪)を造り、少しも善いことをしていません、
(はかりしれない喜びよ)


無明をますますひどくさせて、ただ自分の快楽だけを行い、
(浄土への往生を願います)


他の人々が善い行いをするのを見ると非難や誹謗中傷を起こします、
(はかりしれない喜びよ)


このような愚かな人が悟りを得難いことは、
(浄土への往生を願います)


本当に誤った道に導く人々に強い縁を持っているからです、
(はかりしれない喜びよ)


ただ目の前の酒や肉を貪ることだけを知って、
(浄土への往生を願います)


地獄においてすべて記録されていることを自覚しません、
(はかりしれない喜びよ)


一たび地獄に入って長い苦しみを受ける時には、
(浄土への往生を願います)


はじめて人々の中で誰が本当に善い道に導いてくれる師であったかを思い出します、
(はかりしれない喜びよ)


罪人が臨終において重病の床で、
(浄土への往生を願います)


意識は昏倒して心は錯乱し、
(はかりしれない喜びよ)


地獄がありありと目の前に現れてくる時には、
(浄土への往生を願います)


白い汗が流れ出て、手は空をつかもうとします、
(はかりしれない喜びよ)


このような苦しみや困窮を誰が救うことができるでしょうか、
(浄土への往生を願います)


阿弥陀如来の御恩を教えてくれる人による以外にはありません、
(はかりしれない喜びよ)


手に香炉を持って、その人に懺悔させて、
(浄土への往生を願います)


合掌させ、南無阿弥陀仏と称えさせます、
(はかりしれない喜びよ)


一声の念仏は多くの苦しみを除き、
(浄土への往生を願います)


五百万劫もの長い長い間の罪を消し除きます、
(はかりしれない喜びよ)


化仏と菩薩たちが念仏の声を探して至ってくださり言います、
(浄土への往生を願います)


「私たちが蓮の花を持ってあなたを迎えに来たので大丈夫ですよ」と、
(はかりしれない喜びよ)


その人は阿弥陀如来の光明を見て喜びます、
(浄土への往生を願います)


すぐに七つの宝石でできた蓮の花の上に坐り、
(はかりしれない喜びよ)


阿弥陀如来に従ってほんのわずかの時間で浄土に還り、
(浄土への往生を願います)


至るとすぐに浄土の宝の池の中に入ります、
(はかりしれない喜びよ)


四十九日間が過ぎると蓮の花が開いて阿弥陀如来の御姿を見ることができ、
(浄土への往生を願います)


観音菩薩勢至菩薩も慈悲の光で照らしてくださいます、
(はかりしれない喜びよ)


眼も明らかに晴れて見え、心も悟りを得、
(浄土への往生を願います)


合掌してはじめて仏になろうと志します、
(はかりしれない喜びよ)


念仏三昧の喜びよ、
(浄土への往生を願います)


地獄・餓鬼・畜生の三悪道を逃れることができたのは念仏を教えてくださった方のおかげです、
(はかりしれない喜びよ)


もし念仏を教えてくださる方がいなかったならば、
(浄土への往生を願います)


どうして阿弥陀如来の浄土に入ることができたでしょうか、
(はかりしれない喜びよ)