陽だまりの樹 コミック 文庫版 全8巻完結セット (小学館文庫)
- 作者: 手塚治虫
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/03/01
- メディア: 文庫
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市原隼人、時代劇初主演 成宮寛貴と手塚治虫の名作『陽だまりの樹』初ドラマ化
http://www.oricon.co.jp/news/movie/2005735/full/
ドラマがどうなるかはわからないけれど、原作は名作だった。
司馬遼太郎などの描き方とはまた違った視点で幕末が描かれていると思う。
なんというか、西郷隆盛や坂本龍馬が、なんといえばいいのだろう、庶民とは異質な、一種「政治臭」と言えばいいのだろうか、うさんくさい雰囲気を漂わす人間として描かれていたところが、幼心に読んでて印象的だった。
それと比べると、福沢諭吉がでかいことを言うけどけっこう臆病なところもあって、なんだか好ましい描き方だったと思う。
山岡鉄舟(小野鉄太郎)が、一貫してすがすがしかったところも印象的だった。
ラストの方で、手塚良庵が、「黒船が来た頃まではまだ少しは分かったが、その後は何がなんだかわからなかった」という意味のことを、維新に際して言っていたセリフも印象的だった。
たぶん、ほとんどの庶民にとっては、コレラなどの伝染病や社会的騒乱に追われて、しかもあまりにも時代の変化が速くて、何がなんだかわからない中を、なんとか生きのびていたのが幕末の十数年の間だったのかもしれない。
そんな中で、権力とは距離をとりながらも、自分の生き方をしっかり貫いた、山岡鉄舟や福沢諭吉や、この漫画の主人公の伊武谷万次郎や、あるいは右往左往しながらもちゃんとしっかり生き抜いた手塚良庵らは、やっぱり、自分の生き方の範としたいと、もうずいぶん昔に読んだ時も思ったし、今もそう思う。