小泉純一郎です。―「らいおんはーと」で読む、小泉政権の5年間
- 作者: 時事画報社「Cabiネット」編集部
- 出版社/メーカー: 時事画報社
- 発売日: 2006/10/01
- メディア: 単行本
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なかなか面白かった。
本書は、小泉政権の五年間の間の、小泉内閣メールマガジンを編集して一冊の本にしたものである。
とてもわかりやすく、面白い文章で、読みながら、こんなこともあった、あんなこともあった、といろんな出来事を思い出させられ、一冊の本として、とても面白いものだった。
自律と自助の精神や、挑戦することの大切さなどの理念を明確なメッセージで伝え、国民の心を元気づけようとする毎回のメッセージは、なかなか説得力があり、魅力的な部分もあった。
いろんな地域の人々や企業の創意工夫の紹介。
スポーツにおけるいろんな選手の活躍や、愛知万博、諸外国の話や、古典のことなど。
なかなかためになる話も盛り込まれていた。
郵政民営化を通じての財政投融資や特殊法人の改革のことや、道路公団民営化、構造改革、北朝鮮との外交問題、イラクへの自衛隊派遣、靖国参拝などの問題についても、それらの小泉さんの実際の政策への賛否は別として、とてもわかりやすく誠実に、明確なビジョンやメッセージをこのメルマガで発信してはいたと思う。
華やかな首脳外交の様子や、日米同盟を基軸にしつつ国際協調を重んじ、開かれた日本をめざしていこうというメッセージは、なかなか説得力もあり、基本的には見事なものだったと思う。
ただし、この本の中には、労働者派遣法の改正など、今現在問題になっていることは、ただの一言も触れられていない。
つまり、小泉政治の光の部分や良い面のみはとてもわかりやすく明るく書き立てているが、当時において、のちのち重大な問題を惹起する事柄については、あまりきちんとメルマガでは説明も発信もされていなかったということだろうか。
政府広報というのは、いつの世も、そんなものだろう。
ただ、あらゆる物事に、光もあれば陰もあるのだと思う。
この本は、小泉政治の陰の部分についてはあまりたいした知見は与えてくれないかもしれないが、光の部分については、当時の臨場感とともに伝えてくれる、貴重な時代の証言の一つかもしれない。