病気で辞めたことについては謝らなくて良いので、むしろ今後のことを安倍さんには聞きたい


■質問冒頭、異例の謝罪=5年前の政権投げ出し―安倍自民総裁
(時事通信社 - 10月31日 21:05)
http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_539567



安倍さんは、たぶん人柄としては誠実な良い人なのだろうし、首相をやめたのは病気のためでいたしかたなかったのだと思う。


問題は、五年前に病気で首相を辞めざるを得なかったことよりも、以下の三点ではないか。


1、昨年、当時の菅首相が海水注入を停止したという情報を安倍さんは信じて、自身のメルマガなどでも拡散し、随分と菅さんを叩いた。しかし、その後、それは全くの事実誤認であったことが明らかになった。これは永田メール事件と同様な出来事であったにもかかわらず、安倍さんは特にこの件について永田議員ほどにも陳謝したこともなかったし、マスコミも永田メール事件とは異なりほとんどとりあげず、問題にもしなかった。これは報道のありかたの平等性についても極めて疑問にさせられる出来事であったが、安倍さんにはこの件についてしっかりとした認識をきちんと表明して欲しい。


2、安倍さんは自身の基本政策に「脱原発依存」をあげている。しかし、その具体的な内容はいまのところあまりはっきりしない。仮に脱原発依存ということをいうのであれば、現在の民主党の目指している2030年代までの脱原発ということについてどう考えるのか、また現在その策定が一部の国会議員や民間有志で目指されている「脱原発基本法」についてどのような意見なのか。具体的にどのような「脱原発依存」を目指すのか。はっきり示すべきと思う。自身の地元にある上関原発への今までの自身のかかわりやそれについてどう考えているのか、また今後どう取り組むのかも明言すべきだろう。


3、安倍さんは主に、民主党の外交・安全保障について厳しく批判している。だが、そもそも、自著の『美しい国へ』の中では、安全保障と同時に、社会保障を国を支える二本の柱として重視する姿勢を打ち出していた。しかし、社会保障についてはどうも具体的な政策が今のところよくわからない。民主党はそれなりに社会保障の再構築に向けて部分的に努力してきたが、民主党政権社会保障政策の何を批判し何を肯定するのか、今後どう変えるのか。小泉政権から始まった社会保障圧縮路線に再度戻るのか、それともそうではないのか。社会保障に関する具体的なメッセージを発信すべきだと思う。


私は、以上の三点についての見解こそ、安倍さんに聞きたい。
難病を抱えて、首相退任がやむをえなかったことは、多くの国民にとってはすでに了解済みだと思う。
そのことについて、それほど心を痛めて謝り続ける必要は、おそらくほとんどの国民は感じていないのではないか。


むしろ、今後のために、上記の三点について、安倍さんらしい誠実な回答をお聞きしたいものである。