滝沢克己 「歎異抄と現代」

「歎異抄」と現代 (1974年)

「歎異抄」と現代 (1974年)


歎異抄の論理について、これほど明晰に書かれた本はないと思います。

とてもすばらしい本でした。

これを読んで、はじめて歎異抄のすばらしさに目が開かれた気がします。

唯円を著者が批判しているあたりは圧巻で、通常、よほどな理解がなければ、歎異抄の著者である唯円を、親鸞聖人自身との違いや不徹底さという点で批判するなどという離れ技はできないし、したとしても本人の思い込みで理屈のあまり伴わない業になると思われます。

それを、大変納得のいく、明晰な文章と展開している離れ業は、本当に舌をまきます。

歎異抄の魂は、この本を読んで、はじめて明らかになる部分もあるのではないでしょうか。

根源的決定。
そして、そこから、浄土に光を少しでも精確に映し出そうと、渾身の努力で生きていくことの勧め。

いつの時代でも、一番大切なメッセージだと思います。