BS1 米国 ”闇”へ

だいぶ前、BS1で「米国 ”闇”へ」という番組があった。

http://www.nhk.or.jp/democracy/yotei/index.html#yotei01

英語版はニコ動でも見れるようである。

(以下はその時の感想)


アメリカ軍によって、アフガンのバグラム刑務所、イラクのアルグレイブ刑務所、キューバグアンタナモ基地で行われた、タリバンアルカイダ、あるいは何の関係もない無実のアフガン人やイラク人たちへの、筆舌に尽くしがたい拷問の様子が特集されていた。

少しは話に聞いていたけれど、これほどだったとは。。
恥ずべき時代だと、この時代を思った。
こんな恐ろしいことが行われており、しかも、それを日本や他の国々も容認して、こんなことをしているアメリカを支持し賛同し続けてきたとは。

あるアフガンの、普通の善良なタクシー運転手は、まったく無実の罪だったにもかかわらず、バグラム刑務所で米兵によって過酷な拷問を受けて拘留の五日後に亡くなった。
両足は、米兵に蹴られ続けたため、バスで引かれたようになっていたという。

その他の虐待の様子も、証拠の写真や映像、証言によって明らかにされていた。
犬をけしかけて脅えさせたり、殴る蹴るの暴行。
裸にして、あらゆるののしりを加えて、人間の自尊心を剥奪する。
大音量を側で鳴らし続けたり、手錠で天井から吊るして、睡眠を奪い続ける。
中世の異端審問さながらの「水尋問」という、顔に水をかけたり垂らし続けたりする、いわゆる水責めで自白を強要する拷問。

野蛮の極みであり、文明の死であり恥の事態が、まさにこの時代に行われていた。

アメリカが言う正義や民主主義など、この事実の前には、いかに欺瞞に満ちたものか、虚偽と虚仮のかたまりか、まったく弁解の余地はないだろう。

現場の兵士は、そもそもジュネーブ条約をまったく教わっていなかったという。
しかも、上官の命令や、示唆によって、そうした行為を行ったという。

チェイニーやラムズフェルドは、拷問を許容、あるいは指令するかのごとき発言や命令を多々出していたそうだ。

にもかかわらず、のちにいくつかの事件で、何人かの現場の兵士は責任を問われたものの、上官は無罪だったし、もっと上の巨悪の、大統領とその周辺はまったく罪を問われていないどころか、なんと自分たちの手で、今回のイラク戦争に関する戦争犯罪について大統領とその閣僚が一切責任を問われないというとんでもない法律をつくってすでに議会で承認されたとのこと。
ニクソンでもやってない、こんな馬鹿なことが、今のアメリカでは実現してしまっている。

あらゆる恥辱と暴行の限りを尽くされた、バグラムやアルグレイブやグアンタナモに収容されていたイスラムの人々、およびその友人や家族は、アメリカに対してどういう感情を抱くか、想像するだにいたたまれない気持ちになる。
もともとはなんらテロリストではなく、無実の罪で連れてこられた人々も、あのような辱めにあえば、必ずアメリカを打ち滅ぼしたくもなるだろう。

このような出来事が、同時代にあったということを、この時代に生きる文明国の人々はすべて厳重に恥じなければならないと思う。
このような事態が放置され、しかもろくに批判も反省もされないとするならば、アメリカの民主主義と文明はすでに死んだものと言えよう。
アメリカの正義なんてものは、もともと虚仮に覆われていたけれど、今やまったくの虚仮のかたまりと言えよう。

早く、こんな愚かな時代が終わって、アメリカが内部から健全な批判が行われて、きちんと自己浄化して欲しい。
オバマさんかヒラリーさんが大統領になれば、あるいはそうしたことも望めるのだろうか。

こんな愚かな、こんな虚仮に満ちた、ブッシュの戦争を支持した、日本の当時の首相や人々も、知らぬこととはいえ、これらの恥ずべき事態の片棒を担いだことに、血の涙を流し全身から血が吹き出るような気持ちで懺悔をしないことには、地獄は一定すみかぞかしなのではなかろうか。

もし、民主主義や国際法というものが、今でも意味のある理念であり、かつ守り育んでいくべきものだとすれば、このようなアメリカの暴虐への徹底した批判をこそまずは心がけるべきだろう。
このようなアメリカの暴虐への批判と反省を伴わない限り、民主主義や国際法の存続も再生もありえない。
そうした努力をしない国々や人々には、もはや民主主義や文明を語る資格はないだろう。