「什の掟」
一、年長者の言うことに背いてはなりませぬ。
二、年長者には御辞儀をしなければなりませぬ。
三、虚言(うそ)をいうてはなりませぬ。
四、卑怯なふるまいをしてはなりませぬ。
五、弱い者をいじめてはなりませぬ。
六、戸外で物を食べてはなりませぬ。
七、戸外で婦人と言葉を交えてはなりませぬ。
ならぬことはならぬものです。
「家訓十五箇条」
一、大君の儀、一心大切に忠勤に励み、他国の例をもって自ら処るべからず。
若し二心を懐かば、すなわち、我が子孫にあらず、面々決して従うべからず。
一、武備は怠るべからず、士を選ぶを本とすべし。上下の分を乱るべからず。
一、兄を敬い、弟を愛すべし。
一、婦人女子の言、一切聞くべからず。
一、主を重んじ、法を畏るべし。
一、家中は風儀を励むべし。
一、賄(まかない)をおこない 媚(こび)を求むべからず。
一、面々依怙贔屓すべからず。
一、士を選ぶには、便辟便侫の者をとるべからず。
一、賞罰は、家老のほか、これに参加すべからず。もし位を出ずる者あらば、これを厳格にすべし。
一、近侍のものをして、人の善悪を告げしむべからず。
一、政事は利害を持って道理をまぐるべからず。
評議は私意をはさみ人言を拒ぐべらず。
思うところを蔵せずもってこれを争うそうべし。
はなはだ相争うといえども我意を介すべからず。
一、法を犯すものは、ゆるすべからず。
一、社倉は民のためにこれを置く、永利のためのものなり。
歳餓えればすなわち発出して、これを済(すく)うべし。これを他用すべからず
一、若し志を失い、遊楽を好み、驕奢をいたし、士民をしてその所を失わしめば、すなわち何の面目あって封印を戴き、土地を領せんや。必ず上表蟄居すべし。
右十五件の旨 堅くこれを相守り以往もって同職の者に申し伝うべきものなり
寛文八年戊申四月十一日