雲井龍雄 「青柳の駅にて感有り」

「青柳の駅にて感有り」

伊北伊南落葉多  これ北 これ南 落葉多し
游人弔古意如何  游人 古(いにしへ)を弔ふ 意(こころ) 如何(いかん)
嬴顚劉躓真耶夢  嬴(えい)は顚(てん)じ 劉は躓(しつ)す 真か夢か
依旧版図山又河  旧に依るの版図 山又(また)河


(大意)

北や南に奔走するうちに、いつの間にか秋の季節となって、
落ち葉ばかりになった。

いまぶらぶらと散策する私が、過ぎ去った時代を弔うのは、
いったいいかなる心情からだろうか。

秦の始皇帝の一族も滅び、漢の皇帝の一族も滅びていった。
(それと同じように、徳川も、多くの諸侯も滅びていった。)
本当に夢のようだ。

昔ながらの変わらぬものは、ただ山と河だけだ。