- 作者: テニスン,入江直祐
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1957/01
- メディア: 文庫
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高校の時に一度読んで、ものすごくひさしぶりに読み直してみた。
一〜二時間もあれば読み終える本当に短い作品なんだけど、あらためて心に残る作品だった。
はじめて読んだ時は、主人公のストイックな心根に感動して涙が出た。
今回、だいぶ時が経って読み直すと、人生のままならなさに感慨が深い。
登場人物は皆良い人物で、思いやりもあるのだけれど、ただ自分や大切な人を幸せにしたいと思って生きているだけで、気づかないところで誰かを傷つけてしまっている。
また、ただ良かれと思って一生懸命生きているだけなのに、運命の思いもよらない変転に翻弄される。
若干年をとってくると、それらのことが、なんだかより胸にしみて共感させられてきた。
もちろん、あらためて、主人公の本当に優しい、気高い心と悲劇にも深く胸打たれる。
あと、記憶だと、ヒロインのアニーが聖書を適当にめくって出てきた言葉に啓示を求めようとした時、何回かそれをやってた記憶があったのだけど、読み直したら「棕櫚」の一回だけだった。
何か別の本とごっちゃになっていたのかもしれない。
たまに、何度か同じことを私もやってみたことがあるけれど、もし特に他の本に似たような箇所がないのであれば、高校の時に読んだこの作品の影響だったんだなぁと思う。
若い人にあらためて若いうちに読んで欲しい作品と思うし、また大人が時折読み直すのに、本当に良い作品と思う。