ひさしぶりに戦没学徒兵の遺書集・『きけわだつみのこえ』を手にとって、全部ではないけれど、いくつかの箇所を読み直した。
上原良司さんの、毎日が死が前提でありすべてを遺書と思って生きていた、という記述や、切々とした自由主義の憧れを書いている箇所に、あらためて胸を打たれた。
また、木村久雄さんの「何といっても日本は根底から変革し、構成し直さなければならない」という記述に、当時の、また311後の日本を思って、あらためて深く考えさせられるものがあった。
吉村友男さんの、学問の純粋さや学問の独立とはいろいろな勢力に負けないこと、という記述や、自分自身の批判をしっかり持つということにもはっとさせられた。
大井栄光さんの、中国の戦地で教会を訪れて、中国人のクリスチャンの人とあたたかな交わりがあったことの記述にも、感動した。
それらの学徒兵の方々は、今の私の年齢よりも、皆ずいぶんと若くして戦死しているわけで、さぞかし生きたかったろうなぁと思う。
幸い、平和で自由な世の中に生きている私は、あだおろそかに時間や命を使わず、しっかりと学問や勉強に打ち込もうとあらためて思った。
あと、ひさしぶりに読み直して、今さらながら気付いたことは、前書きの「感想」という箇所を、渡辺一夫が書いていることである。
高校の頃はじめて『きけわだつみのこえ』を読んで、その頃は全然気付かず、随分経って全然別のルートから渡辺一夫に興味をもって一時期随分いろんな本を読んだけど、いまいち自分の中でつながっていなかったので、今日はいまさらながら感慨深いものがあった。
あと、その文章の中で、渡辺一夫が、ジャン・ジョレスについて言及していたのも感慨深かった。
高校の頃読んだ時は、ジャン・ジョレスが誰なのかも知らなかったけれど、その後、石川三四郎の本などを通じて、第一次世界大戦の勃発をなんとか食い止めようとして暗殺されたその姿には深い感銘を受けたことがあったので、なんだかそれらの線がつながった気がして、ひさびさに読み返すといろいろ発見があるなぁと感慨うたたなものがあった。
まだ全部は読み直せてないので、ちょっとずつまた全部読みたいと思う。
あと、できれば、これらの遺書の中で大切に言及されている本の数々も、いつかきちんと読んでみたいと思う。