前島誠 「ユダヤ流 逆転の発想」


とても面白い、素晴らしい一冊。


実はこの本、かれこれ十数年前、高校の時に一度読んでいる。


読んだこと自体は覚えているのだが、内容をほとんど忘れてしまっていて、本棚を探してとても久しぶりに読み直したところ、本当に驚いた。


というのは、わりと最近読み終わった、ハロルド・クシュナーの本や、カリール・ジブランの『預言者』や、ミシュナのアヴォート篇などがこの本の中ではっきり言及されている。


つい最近、それらの本とめぐりあったと思っていたら、なんと名前と、少しばかりの紹介には、この本で十数年前にはすでに出会っていたことになる。


もっときちんとこの本をしっかり繰り返し読んでいれば、もっと早くにそれらにも出会えていたのかもしれないし、あるいは、それらを読んだからこそ、またこの本にめぐりあえたのかもしれない。


この本自体もとても良い本で、聖書やタルムードを引用しながら、著者自体の体験にもとづいた、いろんな味わい深い話や知恵がたくさん書かれていた。


昔一度読んだ時に、「立ち返り・静思・黙考・信頼」という四つのことが書かれていることだけはかすかにずっと覚えていたが、今回読み直して、イザヤ書三十章についての解説だったのだと気付いた。
とても素晴らしいことで、人生の方向を考える時の秘訣と思う。


また、神はかすかな静けさの中に語るという、列王記の中のエリヤのエピソードの中の一節は、とても心に残った。


「今」を生きることの大切さや、人を尊重すること、人生をあるがままに受け入れ、振り子のように枠にとらわれないで逆方向からも考える発想をすること、などなど、とても示唆に読んだ良い知恵の数々だった。


折々にまた今度は、もっと頻繁に読み直し、この知恵を有効に生かしたいと思う。