絵本 「ヒロシマのいのちの水」

ヒロシマのいのちの水 (えほんのもり)

ヒロシマのいのちの水 (えほんのもり)


とても胸打たれる絵本だった。
実話が元になっているそうである。


宇根利枝さんは、広島に原爆が落ちた日、本人は無事だったが、広島の街で地獄を見た。


水を求めている多くの人々を見たが、彼らに水を飲ませることができなかった。


敗戦から十年後、その時の果たせなかった約束を果たしたいと思い、山の中の滝の水を汲んでは、市内に百二十箇所ある慰霊碑に水をお供えすることを始めた。


そのことを、半世紀以上、この絵本が出た時点で五十四年間、ずっと地道に続けてきたそうである。


宇根さんの心の優しさに胸を打たれるのと同時に、そうせねばおれなかったほど、あの日の情景は悲しいものだったのだろうと、深く胸を動かされる絵本だった。