- 作者: マイケルモーパーゴ,Michael Morpurgo,佐藤見果夢
- 出版社/メーカー: 評論社
- 発売日: 2011/12/01
- メディア: ハードカバー
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本当に良い作品だった。
読み終えて、不覚にも涙が止まらなかった。
モーパーゴの一次大戦モノの最高傑作のひとつと思う。
『兵士ピースフル』とともに、ぜひとも多くの人に読んで欲しい。
モーパーゴの第一次大戦モノを読んでいると、本当にもういいかげんに一次大戦で戦争はやめとこうという気になる。
戦争なんてろくなことはない。
ナショナリズムや愛国心なんて、ぬかるみの塹壕と鉄条網と機関銃の戦争を知らない人間のたわごとなんだろうと思う。
モーパーゴの圧倒的な語り口と生き生きとした描写を読んでいると、心底そう感じる。
忘れてはならないことが、本当は山のようにあるのだと思う。
再来年、2014年は第一次大戦勃発から丸百年になる。
百年も経つのに、今もって人類はあまり賢くなっていないのかもしれない。
一次大戦の同時代に出された、たとえばアンリ・バルビュスの『砲火』やレマルクの『西部戦線異状なし』などの作品ももう一度読みなおされるべきかもしれない。
それと同時に、まるで一次大戦当時の人々が乗り移ったかたのように物語るモーパーゴの、これらの作品をぜひとも、心のひからびた大人にこそ読んで欲しいと思う。
馬から見れば、どちらの側の人間にも良い人もいれば、そうでもない人もいるし、同じ人間が殺しあうほどの愚行はないのだろう。
生きようとすること、生かそうとすることこそが、本当は何よりも大切なのだと思う。