エリオット 「荒地」を読んで

荒地 (岩波文庫)

荒地 (岩波文庫)


エリオットの『荒地』を読み終わった。

この詩は、昔、岩波文庫ではない別の版で、読んだ記憶がある。
といっても、ずっと前なので、当時はなんだかよくわからん難解な詩だなあという印象だけだった。

今読んでみると、なんといえばいいのだろう、非常に不思議な詩だと思う。
簡単にわかるわけではない、ひっかかりも至るところに感じたのだけれど、
「非現実の都市」というのは、なんとなくわかる気がした。

「ここは水はなく岩ばかり。
岩だけで水はなく、ただ砂の道。」

第一次大戦のあとの、荒涼とした気持ちが、この詩にも色濃く影を落としている。
その気持ちや心は、若干、ロスジェネと呼ばれる、今の日本の私たちの世代も、いくばくかは共感させられるものがあるのかもしれない。

言葉ではうまく表せないものを、言葉で紡いでいる、不思議な読了感のある一冊だった。