大谷光真 「今、ここに生きる仏教」

今、ここに生きる仏教

今、ここに生きる仏教


面白かった。

門主が率直に、本音で、かなりラディカルなことを語っていて、いろいろ啓発された。

笑えるような、いや、本当はあんまり笑えないような今の仏教やお寺の堕落や停滞ぶりについても率直な指摘がなされている。
門主や上田さんが提案するような改革への方向に、すこしは変わっていけるといいのだけど。

門主が、縁起について、さまざまな縁によって生かされているという側面と、それだけでなく、自分自身が周りに影響を及ぼしていくという側面も、大事な「縁起」の中身だと指摘されていることは、なるほどーっと思った。

また、凡夫であることを前提にした上で、できることをしていくことの大切さを御門主が繰り返し述べられていて、本当になるほどと思った。

未来に対して、前向きの縁起をつくりだしていくこと。
網の目の一つとして責任を持って生きていくこと。
本当に大事と思う。

浄土に往くとということが決まった上で、今をどう生きるのかが大事ということ。
往生浄土の確信の上で、この世を生きていく、浄土の呼びかけに応えて生きていく。
そのことの大切さを説かれているところも、なるほどと思った。

御恩報謝、報恩感謝の生活ということについて、「めぐみにこたえる」ということであり、めぐまれたことを無駄にすることなく、最大限生かしていくことだと述べられていることも、なるほどと思った。

「人生修行」の大切さを、御門主が明確に述べている箇所も、なかなか面白かった。

仏教は目覚めや解き放ちの宗教であり、目覚めるということは、自分へのとらわれに気付いて、より自由な広い心を育てることだと述べられていたことも、なるほどと思った。

多くの啓発されるメッセージを含んだ、良い一冊と思う。

現代日本の仏教を考える多くの人に読んでもらいたい一冊だと思う。