我、自衛隊を愛す 故に、憲法9条を守る―防衛省元幹部3人の志
- 作者: 小池清彦,箕輪登,竹岡勝美
- 出版社/メーカー: かもがわ出版
- 発売日: 2007/02/01
- メディア: 単行本
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著者の一人の箕輪登さんは、もうお亡くなりになったけれど、長く自民党の衆議院議員をされた方で、防衛政務次官や郵政大臣をされた方。
けれども、小泉政権下でのイラク派兵に断固反対して、自衛隊イラク派兵差し止め訴訟まで行った人物。
この本には、箕輪さんの法廷での弁論が収録されていて、その気迫と気概に胸打たれる気がした。
特に、90頁のところで、「やむにやまれぬ大和魂」で差し止め訴訟を起こし、小泉政権を批判していると述べているところには、とても胸を打たれた。
まさに、民族の正気を体現した方だったのだと思う。
この本に書かれている三人の方は、皆、自衛隊は現憲法九条のもとですでに十分に合憲合法の存在だと指摘し、専守防衛の観点から自衛隊を必要と認め、大いにその必要性と正当性も述べられている。
そして、そうであればこそ、九条を改正することに反対し、「対米貢献」のために自衛隊を海外に出して血を流すことに衷心からの警告を発している。
アメリカの不義非道の戦に、なんの批判精神もなく唯々諾々と加担した人々よりは、箕輪さんのような人たちこそが本当の愛国者であり、大和魂の持ち主だと思える。
九条を守るか否かは、決して自衛隊をきちんと認めるかどうかという問題ではない。
現憲法ですでに十分に自衛隊は合法合憲の正規軍である。
九条を改正することは、国際貢献ではなく「対米貢献」のためであり、波及有事に日本を巻き込むことであり、祖国防衛中心の防衛政策を改めて海外派兵恒久化を進めることである。
この海外派兵恒久化に反対することこそが、九条を守るということであり、右も左もなく党派を超えて、心ある人はそのことに協力しよう。
この本のメッセージは、要約すると、だいたい以上の内容になると思う。
なかなか、面白い、ためになる一冊だった。