森鴎外 「雁」

雁 (新潮文庫)

雁 (新潮文庫)

心に残る作品だった。

この作品に出てくる人は、どれもそれほど悪い人ではなく、ごく普通の、わりと善人である。
しかし、なかなかうまくいかないのが、人生というものの哀れさである。

人生では、あの時タイミングがうまくあっていれば、と思うことが時折ある。
その時、タイミングがはずれたたまに、縁がなくなるということがある。
私にもしばしばそういうことがあった気がする。
この小説を読みながら、そんなことを思い出した。

逆に言えば、タイミングがうまくあった出会いや縁というのは、それだけ大切な、貴重なものなのかもしれない。