里中満智子 「アトンの娘」

これは名作だった。
古代エジプトが舞台で、ツタンカーメンの妻のアンケセナーメンが主役。
アメンホテプ四世やネフェルティティも登場し、一神教多神教の対立というテーマもよく描けている。
理想と現実、親への反発、大人と子供、などなど、普遍的なテーマをうまく盛り込んであって、古代エジプトと現代と、あんまり人間は変わってないのかもなぁという気になった。

結局、人間は賢くなったのか、あるいはそんなに変わってないのか。
よくわからないが、何かしら胸を打たれるものが、うまく言葉にはならないが、この作品にはあると思う。

そういえば、ずいぶん昔、子どもの頃、ツタンカーメンの黄金のマスクの実物を見たことがあったけれど、背景にこんな物語があったのかもなぁと思うと、しみじみとした気持ちになった。
いつかカイロの博物館にも行って、アンケセナーメンツタンカーメンに供えたドライフラワーも見てみたいものである。