映画 「リンカーン」

感動した。
本当に良い作品だった。

一つの法案を通すために、どれほどの妥協や努力や忍耐が必要か。
理想を実現する道は単純ではなく、複雑な現実に根気よく働きかける不屈の意志と慎慮が大切。
そのことを教わる名作。

リンカーンが、理想的急進派のスティーブンスに、「コンパスは北を指すが、沼や障害物のありかを教えてはくれない。しかし、それらを避けて通らねば、沼に沈んで元も子もない。」という意味のことを言う箇所があり、本当にそのとおりと思った。

世の中には、急進主義的になんでも時の政治家の煮え切らぬ態度を叩く人がいるけれど、現実は複雑で、さまざまな紆余曲折を経て、はじめていくばくかの理想をやっと実現できるものであることを、この映画を見て少しは学んでくれたらなぁと思う。

あと、冒頭の南北戦争の戦場の、白兵戦の凄惨なシーンも心に残った。
本当にひどい戦争だったとあらためて思う。

リンカーンとグラント将軍とリー将軍は、ある意味、男の最高の理想像だとそれぞれ思えるが、この映画を見て、あらためてそう思った。