絵本 「みどりのしっぽのねずみ」


かわいい、しかし、深い絵本だった。

はじめは人間たちのマルディグラのお祭りを真似した悪ふざけのはずが、仮面をかぶっているうちにお互い本気になって憎み合うねずみたち。

しかし、別のねずみが、あるがままでやってきて、仮面をはずさせると、皆仲直りし、仮面を焼き捨てる。

ただ、その時のことを皆ほとんど忘れるのだけれど、一匹だけ、しっぽが緑のままのねずみがいた。

これは何を意味するのだろう。

記憶の大切さだろうか、それとも、争いのあとに平和が来ても、傷が残る場合もあるということだろうか。

作者のレオレオニはユダヤ人なので、このマルディグラの祭は、ひょっとしたらハヌカ祭のことでもあるのかもしれない。

この物語をどう読むか、正直、なかなか簡単には解けないだけに、魅力的な絵本だと思う。

人まねや仮面を身につけてしまうのではなく、お互いにあるがままで、仲良くすることが、どれほど大切かということを、シンプルに伝えたい物語なのかもしれない。