絵本 「マリアンは歌う」

マリアンは歌う

マリアンは歌う

  • 作者: パム・ムニョスライアン,ブライアンセルズニック,Pam Munoz Ryan,Brian Selznick,もりうちすみこ
  • 出版社/メーカー: 光村教育図書
  • 発売日: 2013/02/01
  • メディア: 大型本
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二十世紀初頭の話。

マリアン・アンダーソンは、「百年に一度」と言われるほど、素晴らしい歌声に生まれ、近所の教会などで歌って、自分でも歌が大好きで、将来は歌手になりたいと夢見る少女。

そこで、音楽の学校に入学しようと応募するが、「黒人はこの学校には入れない」と断られ、ショックを受ける。

それでも、夢をあきらめず、努力を重ね、有名な先生に直接出向いて、はじめは断られるが自分の歌声を聴いてもらって、レッスンを受けることになる。

それから、ヨーロッパに渡って、歌手として大成功する。

しかし、アメリカに帰ってくると、再び人種の厚い壁が立ちはだかる。

コンサートホールは、黒人であるという理由で使用を拒み、黒人にはホテルすらがなかなか見つからない。
列車も、黒人専用車両のみ。

マリアンは、それでも歌い続け、徐々にアメリカでも認められ、人びとに大きな感動をもたらし、最後には小さい頃いつかここに立ちたいと思ったコンサートホールで黒人としてはじめて歌うこともできた。

二十世紀の前半までは、なんとアメリカにはひどい黒人差別があったのかと驚く。
にもかかわらず、誰をも恨むことなく、憎むことなく、逆に大きな愛で包み、歌声によって人々の心の氷を溶かしていったマリアン・アンダーソンは本当に素晴らしいと思う。

すばらしい絵本だった。