絵本 「おじいちゃんの手」

おじいちゃんの手

おじいちゃんの手

  • 作者: マーガレット・H.メイソン,フロイドクーパー,Margaret H. Mason,Floyd Cooper,もりうちすみこ
  • 出版社/メーカー: 光村教育図書
  • 発売日: 2011/08/01
  • メディア: ハードカバー
  • 購入: 1人 クリック: 1回
  • この商品を含むブログを見る


なんでもできて、いろんなことを教えてくれるおじいちゃん。
ピアノも、野球も、トランプも、ひもを結ぶのも、達人。

しかし、若い頃、パンの生地をこねることができなかったという。
パンの会社につとめていたのに。

なぜならば、当時のアメリカでは、黒人は決してパン生地に触らせてもらえなかったから。

あとがきに詳しく書いてあったが、二十世紀半ばころまで、アメリカの大手のパン会社の三大企業のどれも、黒人は掃除や荷物運びだけで、パン生地には触らせなかったという。

若い頃のおじいちゃんたちは、署名を集め、デモをし、平等の労働条件を求めて闘った。

そのおかげで、今は孫の子どもたちは、これからどんな仕事でも選ぼうと思えば自由に選べる。

そのころまでは、黒人だけ帽子の試着を断られたり、白人の同僚や上司のパーティーに出席を断られるのは日常茶飯事だったという。
そんなことが、戦後しばらくの頃までずっと続いていたとは、本当に驚く。

本当に自由で平等な世の中をつくるには、多くの人の、多大な努力と苦労があったのだということを、あらためて考えさせられる絵本だった。