大江健三郎 「二百年の子供」を読んで

二百年の子供

二百年の子供

二百年の子供 (中公文庫)

二百年の子供 (中公文庫)



今日、大江健三郎の『二百年の子供』を久しぶりに読んだ。

以前、七、八年前に一回読んだことがある。
その時もとても感銘を受けた記憶はあるのだが、良い本だったという記憶だけで、細部をすっかり忘れてしまっていたので、いましっかり丹念に読み返すと、こんな物語だったんだ、となんだか新鮮な発見があった。
本当に素晴らしい物語だった。

随所に散りばめられた言葉が、それぞれにとても印象的で、ためになったけれど、

・「人それぞれ」
・「復元力」
・「人生の計画」

などの言葉は、とても考えさせられた。

また、

・途方にくれておらず、解決策を見つけ出すこと。
・あるところに行きたいと、心から願うと、思いがかなう。
・古い言葉に出遇ったら、外国語でどう言うか調べてみる。
・過去の人や出来事について、深くわかったということは、無意味ではない。
・ここから流れていく川下は変えられる。先に見える未来がまずいと思えば、いま作り変えればいい。
・与えられたイメージを自分で作りかえることが想像力の働き。

ということなども、なるほどっと思った。

地域の歴史・郷土の歴史が、このようにきちんと語り継がれれば、どれほどいいだろうとも思った。

特に感銘を受けたのは、

・「新しい人」は「新しい言葉」からつくられる。

・私らの大切な仕事は、未来を作るということだ、私らが呼吸をしたり、栄養をとったり、動き回ったりするのも、未来を作るための働きなんだ。

という言葉。

つまり、生きるとは、未来を作るということだというメッセージが、本当に胸に響いた。

「今に含まれる未来」を見ていくことの大切さ。
あらためて、とても教えられた。

また、この小説には「メイスケさん」という、おそらくは三浦命助がモデルだと思われる人物が出てくる。
メイスケさんは、三浦命助と違って東北ではなく四国の一揆の指導者なので、直接三浦命助そのものではないが、「人間は三千年に一度咲く優曇華の花なり」という三浦命助と同じ言葉をいう。
本当に胸を打たれた。

また、七、八年ぐらい経つ間に、一、二度、生きている間、何度となく、読み返していきたい。
本当に心の糧になる、素晴らしい名作と思う。
できれば、ジブリにアニメ化して欲しいものだ。