佐野洋子 「100万回生きたねこ」

100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)

100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)


ある方のおすすめで読んでみたのだけれど、本当に良い本だった。
不覚にも涙。

この絵本はすごい。
いろいろ物語の意味について、理屈をつけて読み解くことも、おそらくはこの本はいくらでもできるのかもしれないけれど、その前にまず理屈を超えて、名状しがたい感動を与えるところが、この絵本のすごいところだと思う。

私は、たぶん愛する人にめぐりあえた満足ということよりも、世の中を「いとう」心が生じたことが、もうこの猫が生まれ変わらなかった原因のような気がする。
(「いとう」とは、親鸞のことばでいうところの「世をいとうしるし」の「いとう」。)

ただ、本当にこの世を「いとう」ことは、本当に愛する人がいてこそできることなのかもしれない。

心に残る名作だった。