絵本 「ぼくはくまのままでいたかったのに…」

ぼくはくまのままでいたかったのに……

ぼくはくまのままでいたかったのに……


これは現代社会への痛烈な諷刺のきいた、面白い絵本だった。

ある日、冬眠から目を覚ました熊は、いつの間にか周囲の自然がなくなり、工場の敷地になってしまっていることに気付く。

工場の人々は、熊がどれだけ自分は熊だと言っても耳を貸さず、怠け者だと決めつけて、ひげを剃らせて制服を着せて、工場で働かせる。

熊ははじめはなんとか理解してくれる人や熊を探して自分を理解してもらい、工場の作業員ではないと説明しようとするが、やがて諦めて工場で働くようになる。

しかし、解雇され、遠い道のりを歩いていった先で…。

私たちも、いつの間にか、自分の中の自然を忘れ、耳を傾けてくれない社会に決めつけられたことに順応してしまって生きているのかもしれない。

そのことを考えさせられる一冊だった。