絵本 「ケツアルコアトルの道」


アステカの神話を描いた絵本。


アステカの神話はほとんど何も知らなかったので、とても興味深かった。


ケツアルコアトルという良い神様がいる。


しかし、テスカトリポカという悪い神がいて、人々はテスカトリポカの誘惑により、怠けや死に追い込まれていく。


ケツアルコアトルは国が滅ぼされてしまったので、残ったわずかな仲間とともに、遠くを目指して旅に行くが、せっかく持っていた持ち物も途中で出会った悪魔たちに置いていかれるように言われ、すべてを置いていく。


また、雪の降りしきる山の中で、すべての家来たちは息絶えていく。


ケツアルコアトルは、悲しみを乗り越え、歩き続け、死者の国のミクトランを過ぎて、そのさらに先の未知の国に至ったという。


そして、今でも最高位の神として讃えられている。


というところで終わるのだが、なんとも不思議な物語と思う。


最高位の神だというのに、なんと無力で、一方的にやられてばかりの神なのだろう。
ほとんど、新約聖書のイエスを髣髴とさせられるぐらい、無抵抗な弱い神である。


そのような存在を最高の神と崇め、語り継いだというアステカの人々の精神の奥ゆきと深さが、非常に驚きというか、とても興味深く覚えた。


そういえば、以前、テレビで、南米の密林の奥に「ケツァル」という、まるで極楽浄土にでもいるかのような、色鮮やかな珍しい鳥がいるのを見たことがある。
たしか、その鳥は神の鳥として信じられ、このケツァルコアトルからその名がとられていたとその番組で解説されていた。


南米の神話も、そのうちもっといろいろ調べてみたいものだ。