絵本 「ペドロの作文」

ペドロの作文

ペドロの作文


軍事独裁政権下のチリが背景の、ある子どもの目から見た、大人たちの様子は、学校の様子。

とてもリアルで、恐ろしい雰囲気がひしひしと伝わってくるし、その中でよく大人たちを観察して、両親の危機を救う主人公の子どもの作文が、いろんなことを考えさせられた。

よく周囲の環境を観察して、機転をきかせた子どもの知恵や優しさを褒めるべきなのか。

あるいは、子どもなのに、ある程度本当のことを伏せて、思っていることや見たことをそのまま書けない、独裁政権のひどさやゆがみをこそそこに見るべきなのか。

日本も、戦時中は思っているとおりのことが手紙や作文に書けない時代だったのだろうけれど、おおむね戦後はそのようなことはなかった。

言論の自由やさまざまな自由があることのかけがえのなさと、それらがない時にはどうなのかということを考えさせれる絵本だった。