ヘロドトス 第二十三〜二十四節  「アリオンとイルカ」

ヘロドトスの『歴史』の第一巻の第二十三節と第二十四節には、有名なアリオンとイルカの話が載っている。

アリオンという竪琴と歌の名手が、ある時、船に乗っていた。
すると、船員たちがアリオンの持っているお金を奪おうとして、殺害しようとした。

アリオンは、持っているお金をあげるから、最後に歌をうたわせてくれ、と言い、船員たちは納得した。

アリオンは竪琴を弾きながら歌をうたい、そのあと自ら海中に身を投じた。

船員たちはアリオンは死んだと思い、港に帰っていった。

が、なんと、イルカがアリオンを助けて、無事に浜辺までアリオンを運んでくれた。

という話である。

そんな話があるか?と現代人は思うかもしれないが、ヘロドトスの時代には広く信じられていた話のようで、イルカがアリオンを送り届けてくれたタイナロン岬というところには、アリオンが奉納したというイルカにアリオンがまたがった、あまり大きくない青銅像があると、この第二十四節に記されている。

なんともはや、不思議な話だが、私が小さい頃、テレビで「新世界紀行」という番組があってて、それで忘れられないことがある。
アフリカのある漁村では、その昔、イルカを助けた人がいたそうで、それ以来、その村の人が板を波打ち際でばしゃばしゃと叩くと、沖の方でイルカが魚を追ってくれて、浜辺にかけている網に自動的にいろんな魚がひっかかるというのである。
たしかに、その番組で、村人が波打ち際で板を叩くと、沖の方にイルカが現れて、小魚が網にかかりに来ていた。

このように不思議なことが現代にもあるのだから、古代もまた不思議なこともあったのかもしれない。

そういえば、イルカは現在、心に傷を負った子どもや大人の治療にも使われるそうで、イルカと遊んでいると心の傷が癒されるという話を聴いたことがある。

イルカの脳はかなり大きく、人間の気持ちがわかるとか、人間とある程度は心を通わすことができるとかいうことも、聞いたことがある。

アリオンのこの話も、他の動物だったらどうかと思うが、イルカというところが、なんだか信憑性がある気が私はしてならない。

ちなみに、古代から、アリオンとイルカのこの話は、いろんな絵や彫刻にとりあげられてきたようで、以下のページにいろいろ画像も載っている。

アリオン wiki
http://en.wikipedia.org/wiki/Arion

ちなみに、googleで検索してみると、いっぱい画像が出てくる。
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=arion+dolphine&gs_sm=e&gs_upl=2431l9964l0l10272l26l22l1l0l0l4l238l3822l3.12.7l23l0&bav=on.2,or.r_gc.r_pw.,cf.osb&biw=1250&bih=600&wrapid=tlif132676571586210&um=1&ie=UTF-8&tbm=isch&source=og&sa=N&tab=wi&ei=oNYUT_rYGsKbiQesmN1D#um=1&hl=ja&tbm=isch&sa=X&ei=pNYUT8C1Lo_omAW_krHRAw&ved=0CDsQvwUoAQ&q=arion+dolphin&spell=1&bav=on.2,or.r_gc.r_pw.,cf.osb&fp=4550b1af53582ac9&biw=1250&bih=600


あと、プトレマイオス古代に選定した四十八星座の中に「イルカ座」という星座があり、それは今も星座として存在している。
一説によれば、このアリオンを助けた功績により、古代に星座となったと伝えられているそうだ。

いるか座
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%84%E3%82%8B%E3%81%8B%E5%BA%A7