菅政権が一年三か月しか続かなかった理由を、ちょっと考えてみた。
他にもいろいろあるだろうけれど、主な要因として、以下の四つが考えられるのではないかと思う。
一、参院の権力が強い制度的な条件下で、参院で過半数をとれなかったため。(ねじれ)
二、代表選で小沢さんと競い合ったために、その後も小沢派と敵対関係に陥り、与党内部から常に突き上げを受けたため。
三、脱原発を掲げたため、与野党・マスコミ・財界のすべてに敵ができ、集中砲火を受けたため。
四、メディア戦略が稚拙だったため、国民に十分に意見や情報を発信できなかったため。
他にもあるかもしれないが、以上の四つの要因が大きかったのではないかと思う。
ただ、この四つは、菅さんが好んで招いたというわけではなく、ある程度はやむをえない、不可抗力の部分もあったように思われる。
参院の権力が強いのは、日本の憲法上の問題だ。
小沢さんと対立せざるを得なかったのは、小沢さんが代表選に出馬した以上不可抗力だったと思う。
また、脱原発は国家国民のために闘わなければならないことだったと思う。
メディア戦略については、もっと工夫のしようもあったと思う一方で、庶民出身でそこまで財力のない菅さんには、そもそも資金的な面やストックで、かなり難しい面もあったと思う。
上記の四つを考えれば、今後の解決策としては、
憲法上の欠陥として参院の権限を弱める、あるいは参院をなくす、という改憲を提起すること、
小沢派となんとか創造的妥協をしていく道を模索すること、
脱原発については、原子力村と戦い抜くために、国民世論をもっとバックにつける工夫をすること(あるいは、私は反対だが、原子力村に屈するという手もある)
メディア戦略については、地道な工夫、およびリテラシーの向上
ということが今後の政権の安定のための課題かなあと思われる。
ただ、参院の権限の問題は改憲はなかなか難しいだろうから、現実問題としては、野党との妥協や交渉しか当面はないのだろう。
野田さんも、これから困難な課題や現実が待ち受けていると思うが、国家国民のために、良い方向にがんばって欲しい。
私の願望としては、大連立をせずに、政策ごとの協議で1の難点を当面クリアすること、
そして、3については、菅さんほど尖鋭な対立をしないように野田さんは心がけるように思われるが、断じて菅政権が先鞭をつけたエネルギー政策の転換や脱原発や従来の原子力行政のありかたへのメス入れを失速させないで欲しいことである。
4については、菅さん同様、野田さんも心配であり、むしろ菅さん以上に、野田さんがそんなにメディア受けするとは思えない。
一定期間が経てば、メディアから過剰なバッシングや集中砲火を受けることになりはしないかと、今から心配される。
2については、小沢派と断固たる対決に出ることも、かといって完全に彼らの言い分を聞くことも現実問題として難しい、という苦悩は、菅政権同様に続くと思うが、菅さんの時と比べると、衆院選が近いということと、小沢さんの求心力が度重なる敗退でかなり失われてきたということで、お互いに歩み寄りやすくはなってきているかもしれない。
野田さんをはじめとして、今後の政権、および日本国民も、菅政権を含めたかつての政権がなぜ短命政権であり続けるのか、よくよく考えて、問題を分析し、教訓を生かさない事には、どうにも日本はならないような気もする。