社会的包摂と社会的排除


菅内閣が、つい最近、「一人ひとりを包摂する社会」特命チームという特命チームをつくったそうだ。

湯浅誠さんらが中心メンバーとなり、日本の昨今の社会的孤立や社会的排除の現状分析と、対策としての「社会的包摂」の方針や施策を策定し実行することを目指しているらしい。


資料
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/housetusyakai/dai1/siryou2.pdf

特命チームの概要
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/housetusyakai/dai1/siryou3.pdf


この資料を読んでいて、あまりのシビアな現実に、ため息が出てきた。

社会的孤立や無縁社会・無縁死というものにどう向き合うか。
難しい問題だが、無為無策で手をこまねいているのではなく、社会的包摂のために尽力することは社会の活力や健全さのためにも極めて大事なことであろう。

この資料が指摘しているように欧州諸国が社会的包摂のために多年努力してきたことを考えれば、日本はやっとその端緒に政治がついたと今回の試みを評価できると思う。

自殺の社会的コスト2.7兆円という試算や、10年で20兆円超という資料もこの中に入っているが、そう考えると、国の活力や国富の問題としても、自殺対策やその背景の社会的孤立の問題に対策を建てることは、極めて重大な事項であろう。

幸福度と世帯収入の関係のグラフも興味深く、人によって個人差はあろうけれど、やはり収入が多い方が統計上も自分が幸せだと感じる人が多いようである。

将来に対する不安感の各国のアンケートのデータもあったけれど、日本が一番高い。

知らない人に対する手助けの経験で、アメリカが一番多く、日本が一番少ないというアンケート結果も興味深かった。

これらの状況のために何をなすべきか。
強い社会保障や、なんとか雇用や安定した賃金を達成することや、金銭のみでなく対人サービスの充実を図ることや、教育におけるモラルやコミュニケーション・スキルの向上をはかることなど、課題は山のようにあるのだろう。
まずは現状を国民が正確に知ることや、社会的孤立による問題を広く理解することが大事なのだろうし、社会的包摂ということについて、政府のみでなく民間が広く問題意識を共有することこそが大切なのだろう。

菅内閣もせっかく良いことをやっているのだから、マスコミももっととりあげたり、政府ももっとうまく情報発信すればいいのにと思う。
これからの取り組みが大事だろう。