どうせ定着しないだろうけれど 思いやり予算の名称について

<前原外相>米軍への「思いやり予算」名称を変更
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110122k0000m010028000c.html


どうせ定着しないだろうが、なんとも納得のいかない奇妙なニュースである。

そもそも、「思いやり予算」とは、日米地位協定上全く法的根拠がないにもかかわらず存在するところにその特異性があり、その特異性の表現として「思いやり」という呼称がされてきたはずである。

だいたい日本は、思いやり予算とは別に、

基地周辺対策費など1737億円
沖縄に関する特別行動委員会関係費169億円
提供普通財産上試算(土地の賃料)1656億円
米軍再編関係費909億円
基地交付金378億円

など、充分に「HNS」をすでに負担している。
そのうえの「思いやり」というところが、長年問題とされてきたのではないか。
特に、しばしば指摘されてきたことだが、娯楽施設にまで多額の負担をしてきたのはどう考えても過剰な思いやりであり必要な経費とは言えまい。

娯楽施設で働く人の人件費は、今回前原さんと米軍の交渉で減らされることになったらしい。
なので、一応その点だけは全く評価しないわけではない。

が、国民よりも米軍には至れり尽くせりの豪邸をあてがい、しかもどうして米軍再編のための移転費用を日本がここまで負担しなければならないのか、過剰な「思いやり」は今も存在している。

間違ってもマスコミ各社は、このような無意味な阿呆らしい前原さんの意見は適当に聞き流して、従来どおり定着した呼称を引き続き使って欲しい。

もし本当にHNSと名称を変えたいならば、何が不必要で何が必要なのか、もっと徹底的に精査して五年間据え置きなど甘いことをせず、思いやり予算の充分な事業仕分けを経て、そのうえで提起すべきことだろう。

かつ、なんでもアルファベットにすりゃあいいってもんでもなかろう。

前原さんが以前、メール問題で自爆した時には、若気の至りもあったろうし若干気の毒な気もして、危なっかしい人だとは思いながらさほど責める気もしなかったが、思いやり予算をめぐるこの態度は、このままではとてもじゃないが将来の首相の座は当然のこと、外相の地位もふさわしくない気がしてきた。

娯楽施設人件費の減額など良いこともしているので、今後はこのような馬鹿げたことは言わず、アメリカの代弁者や阿諛追従者のようなことはせずに、正々堂々と日本国民の代表として振舞って欲しいものである。


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 前原誠司外相は21日の記者会見で、在日米軍駐留経費の日本側負担が「思いやり予算」と呼ばれていることについて「米軍が(日本に)駐留し、ある程度必要な経費を日本が負担することは、両国の国益に資する戦略的な判断だ。『思いやり』という言葉はずれている」と述べた。その上で、今後は「接受国支援」を示す英語の「ホスト・ネーション・サポート(HNS)」を使用する考えを示し、マスコミ各社にも協力を呼び掛けた。

 「思いやり」の名称は、1978年に当時の金丸信防衛庁長官が「米国から要求されるのではなく、信頼性を高めるということであれば『思いやり』というものがあってもいい」と国会で答弁したことに由来する。99年度の2756億円をピークに減少してきたが、日本を取り巻く安全保障環境の悪化を受け、日米両政府は11年度以降の5年間、総額で現行水準(10年度1881億円)を維持することを決めた。【西田進一郎】
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