酒井雄哉さんの講演で聴いたこと

(2010年7月記す)

酒井雄哉さんの講演を聴いてきた。
酒井さんは、千日回峰行を二回されたという、比叡山の有名なお坊さん。
もう80以上なのにとても明るくて元気な様子に感嘆させられた。

まごころや思いやりということが一番大事で、人の世話や介護や仕事も、心が伴わない事務的なものだけでは人の働きではなく、思いやりが伴ってこそ人の働きと言える。

人生は、根本のこの心が大事。
敗戦の時に根本の心を見失う病気にかかったのだとすれば、今までに60年以上経っているのだから、本当にこの病を治そうとすれば180年ぐらいはかかる。

まごころと思いやりがあれば、世界のどの国の人や違う宗教の人にも通じる。

といった御話だった。

すこしももったいぶったところのない、明るく気さくな感じの方だった。
本物は、やっぱりもったいぶる必要がないので、もったいぶったところがないのだろう。

千日回峰行は、最初に思いたってから、いろんな準備や手続きがいるので、最初から十五年は少なくともかかる、とおっしゃっていたことも、ほおーーっと思わされた。
何事も一朝一夕にはいかず、長い準備がいるのだろう。

あと、感銘を受けたのは、39歳で出家するまで、ぶらぶらと目的もなく生きていた、との御話。
人間、いつから飛躍して、開花するかはわからないのかもしれない。
酒井さんも39歳から、法然上人も43歳からと思うと、少し気がラクになる。

とはいえ、きっといつでも、気づいたときから真剣に精進しないと、人間の開花というのはないのだろう。
私もずいぶん人よりも遠回りをしているけれど、精進して生きていこうと思った。