NNNドキュメント'08 がん難民 渡された命のバトン 民主党議員山本孝史さん

もう三年ほど前になるが、NNNドキュメント'08で、「がん難民 渡された命のバトン 民主党議員山本孝史さん」というドキュメント番組があっていた。

(以下は、その番組を見た時の感想)


ドキュメント番組で、がん対策基本法の制定に自らがんにおかされながら尽力されて、先日お亡くなりになった、民主党山本孝史参議院議員についての特集があっていた。

良い議員は早くに亡くなられて、ろくでもない議員はのうのうと長生きしてのさばるのだから、世の中は無常だなあと思う。

それでも、山本議員は、大きな仕事を成し遂げられた。
これから、少しは、がんの医療現場が改善されるといいのだが。

番組でもわかりやすくとりあげてあったけれど、今までの日本のがんの医療現場は、いろんな立ち遅れや制度的な不条理がある。

たとえば、新薬の承認が、欧米だと一年半ぐらいなのに対し、日本は三年以上平均してかかるという。
治験にものすごく日本は欧米諸国に比べて不必要に時間と費用がかかっているそうだ。

未承認の薬を治療に使うと、保険が適応されないために、多額の医療費がかかる。
しかも、番組を見ていて、とても腹が立ったのは、それまで保険が適応されていた薬まで、もし未承認の薬と併用する時は、「混合診療」になると言って、保険が適応されなくなるらしい。
治療の公平性が保てなくなるから、という理屈らしいが、そんな馬鹿な話があるかと思う。

そのため、結局、多くの方が、多額の医療費を支払うことができないために、もっと長く生きれたかあるいは回復できたかもしれないのに、未承認の薬を使用することを断念している。

あるいは、なんとか医療費を支払うことができた方も、経済的な苦境に立たされている。

そもそも、制度的に、胆嚢がんにはこの薬、すい臓癌にはこの薬と、杓子定規に決まりすぎていて、本当はきかない薬を投与されてさんざん副作用に苦しんでいる方や、きくはずの薬を保険が適用されないために使えないで苦しんでいる方がどれだけ多いことか。

私のよく知っている方は、末期の胆嚢癌で、もう打つ手なしだったけれど、すい臓癌に使う抗がん剤を使用して、奇跡的に治って今に至っている。
もし杓子定規に、制度で決まっている胆嚢癌に使う抗がん剤を使用していれば、まず確実に助かっていなかっただろうと思う。

山本議員や、多くの亡くなった方の思いが汲み取られて、早く、もっと柔軟で患者本位の医療が確立充実されることが、本当に願われてならない。

あと、番組で言っていて驚いたけれど、抗がん剤治療の専門家が、アメリカは一万人いるのに、日本は百二十六人しかいないという。
この格差はなんだろう。
日本も、本当に、社会全体をあげて、がん治療や医療に取り組んでいかないとなあと、番組を見ていて、あらためて思わされた。


(その後、三年近くたった今も、混合診療に関する制度改革は少しも進んでいないようだ。せっかく民主党に政権が代わったというのに、こうした地道な医療制度改革を実行してこそ、本当に困っている人々のためになる政治ではないか。そうした努力が怠られれば、「最少不幸社会」など何の意味もない単なるスローガンだと思う。)