「劉暁波 陳述書 要旨」(10日ノーベル平和賞授賞式で読み上げられた)
・(天安門事件のあった)1986年6月は私の人生の重大な転換点。
・それ以前は、北京師範大で教えるなど順調な生活だった。米国から戻り、民主化運動に参加したため反革命宣伝扇動罪で投獄され、教壇に立つことも文章を発表することもできなくなった。
・これは、私個人にとっても中国にとっても悲哀だ。
・その後、居住監視となり、労働矯正処分も受けた。20年前の「ハンスト宣言」で表明した「私に敵はいない。憎しみもない」との信念は変わっていない。
・憎悪は一人の人間の知恵をむしばみ、敵意は一つの民族の精神を毒する。私は最大の善意をもって政権の敵意に向き合う。愛をもって恨みを取り除く。
・改革・開放は、毛沢東時代の階級闘争主体の執政方針を捨て、経済発展と社会調和を目指す方向に向かうものだった。
・04年、憲法に人権の保障が盛り込まれた。現政権が「以人為本(人間本位)」「和諧(調和の取れた社会建設)といった方針を打ち出したのも共産党の執政理念の進歩の表れ。
・私は将来、自由な中国が訪れることを楽観している。中国は最終的には人権至上の法治国家へと変わるだろう。
・この20年間で最も幸運だったのは、妻劉霞の無私の愛があったことだ。愛があるから、私は判決に平然と臨むことができる。自分の選択に悔いはない。
・すべての国民が恐れることなく政治的見解を表明し、それによって政治的迫害を受けることがないことを期待する。
・私は、私自身が中国で綿々と続いてきた「文字獄」(言論弾圧)の最後の被害者となり、今後、言論によって罪に問われる人がいなくなることを期待する。
・表現の自由は人権の基本、人間性の源、真理の母である。
・憲法で与えられた言論の自由の権利を行使し、国民としての社会的責任を果たした私の行為は無罪だが、そのことで罪に問われても恨み言は言わない。