※「仮免許」発言で釈明=菅首相
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010121300785
たしかに、首相が「政治家として仮免」じゃ困るし、誤解を招きやすい表現とは思う。
だが、一応、報道によれば、菅さんの発言は本当は、
「首相になっていろいろ配慮していたので、今までは仮免許だったが、本免許になった。
これからは自分の色を出したい。
『首相が代わって日本は変わった』と言われるよう頑張りたい」
という言葉だったらしい。
要するに、今までは「首相として仮免だった」と言う意味の発言であって、べつに「政治家として仮免だった」と言うつもりではなかったようである。
今までの菅さんの振る舞いが、政治家としては一応免許取得者だったのか、それとも仮免か、あるいはそれ以下の無免許だったかどうかは、評者によっていろんな意見があるかもしれないが、それはともかくとして、
誰でも首相になれば、それまでの政治家の経歴とは違う、首相としての仕事をはじめてこなさなければならなくなるわけで、半年もまだ経たないうちに最初から首相の仕事に熟達というわけにもいかないのかもしれないとは思う。
昔の長期政権の、吉田茂や佐藤栄作や中曽根さんや小泉さんも、ある程度長くやったからそれなりの仕事もできたし、首相の仕事に熟達したという面もあったのではなかろうか。
その表現が適切かどうかは別にして、誰であれ、最初の半年か一年ぐらいは首相として助走期間で、そこから先が首相の仕事に熟達して首相としての仕事がかなりできるようになるというものではないかと思う。
佐藤栄作の沖縄返還や小泉さんの郵政改革も、考えてみれば長期政権のかなり後半になってからの出来事である。
菅さんがこれから先、長期政権になるかどうかはよくわからないし、早く退陣した方が良いという意見もあるけれど、こうも短命政権ばかり続いていると、首相の仕事に熟達した人が育つ前に首相が交代するばかりで、安定した統治が成り立つのか若干疑問ではある。
小泉さんを除くと、ここ最近の日本は本当に短命政権ばかりである。
その原因のひとつは、もちろん首相となった人の側の問題もあったのかもしれないが、もうひとつの原因は片言隻句をとらえては叩きのめすマスコミのあり方にもあるように思う。
「仮免」という言葉だけ一人歩きして叩かれているけれど、あんまり片言隻句をとらえて叩きのめすよりは、もうちょっと首相の仕事を育てはぐくむような視点や声も世の中にはあった方がいいんじゃなかろうかという気がする。
とはいえ、今までもし本当に菅さんが政治家として、また首相として、国民の信頼や評価を得るような振る舞いをしてきていれば、「仮免」発言も、謙虚さのあらわれやユーモアぐらいに好意的に受けとめられて、かくも叩きのめされはしなかったかもしれない。
「『首相が代わって日本は変わった』と言われるよう頑張りたい」と言うのであれば、その覚悟、しかとこれから見せてもらいたい。
今までのように、いまいち説明責任もよく果たさず、政治の方針も不明確で、場当たりにしか見られないような政治ではなく、
はっきりとしたビジョンを示し、熱心に施政方針や政策を国民に向かって言葉を尽くして説明し、日本のために命をかけてがんばってもらいたいものだ。
そろそろ本免許の首相が現れてくれないことには、なんとも困る。
民主党であろうと、自民党であろうと、あるいは他の政党であろうと、どの政党からでも良いのだが、ある程度安定した統治のできる長期政権が誕生してくれないと、まとまった政策や改革もとてもできないのではあるまいか。