絶対平和主義と絶対対米支持主義への疑問

絶対平和主義、といえばいいのだろうか、紛争解決のための武力行使を一切否定する考えが存在する。

今回のシリアへの武力行使に関しても、その観点からの批判もしばしばあるようだ。

現時点では、たしかに法的根拠が不明確だし、国連の調査団の調査結果もまだ出ていないので、私も反対である。
オバマさんも、議会の承認を求めることを先ほど明言していた。
どのみち、もうしばらく、武力行使には時間がかかるし、かけられるべきだろう。

ただし、絶対平和主義の観点からの批判は、本当に妥当なのだろうか。

すでにシリアでは十万人以上の死者が出て、化学兵器までが使用された。
二年前にすでにシリアにおける人道に対する罪を告発する国連報告書が出されており、今年の五月にもシリアの暫定政府樹立と即時停戦を求める国連決議が出されている。
にもかかわらず、事態はなんら改善されていない。

国連に基づいた解決、といっても、ロシアの反対で安保理は完全に機能不全である。
そのロシアは、シリア政府に武器供与を行っており、なんらシリアの内戦を止めるための措置や見通しを持っているわけでもない。

絶対平和主義で、シリアの現下の情勢が解決できるのだろうか。
私は疑問である。

とはいえ、介入して、本当に問題が解決するのかも疑問である。
シリアにアメリカが武力行使した場合、報復としてシリアはイスラエルを攻撃するとも予測される。
イスラエルに飛び火すれば、非常に深刻な事態になりうる。

オバマさんは非常に厳しい状況の中で、苦慮と苦心を散々していると思うが、おそらく反対派からも、早期介入支持派からも、今後随分と叩かれることだろう。

かといって、安倍政権が、法的根拠も化学兵器使用の証拠の明確な説明も求めず、米の武力行使を支持する方向性であるのは、なんとも情けないし、単なる思考停止の支持と思う。
支持するにしても、法的根拠や関連情報についての説明を求めるべきだろう。

絶対平和主義も、自民党流の絶対対米支持主義も、どちらも思考停止という点では同じなのではないか。

法的根拠や、問題の具体的解決や、あるいは代替案を模索するためには、思考停止では済まされず、知恵や知識を総動員しなければなるまい。