パロディで詩篇風に雑詩をつくってみた。
詩篇ぽい表現を使ってみると、意外にそれらしく作れるものである。
しかし、これはあくまで、パロディに過ぎない。
こうしたものをつくってみると、いかに詩篇が真似のできない真摯な魂の声と響きに満ちているかあらためてわかる。
それにしても、これはパロディではあるが、冗談であるのと同時に、多少は本気で願われることでもある。
もっとも、慈しみ深い神は、当分は「悪人ども」にも栄耀栄華を味わわされるのだろう。
「詩篇風雑詩」
主よ、あなたは傷つけ、癒し、
殺し、生かす神。
今こそ、わが民を癒し、再び力づけ、
命の道を与えてください。
我らは欲のために道を誤り、
後先も考えず、危険な発電所を海の側に築きました。
地震と津波により、それらは猛毒の放射能を撒き散らしました。
まことに人は愚かであり、一寸先も見えず、
己のなすことの結果すらわからず、
大自然の一鞭によって、すべては崩れ去りました。
まことにこの民は頑なな民、
悔い改めもせず、再びこの毒に頼り、
道を改めもしません。
主よ、右の御手をもって、悪しき司を打ち砕き、
悪人どもを打ち懲らしてください。
私は憂い、悲しみ、膓のよじれる思いです。
主よ、いつまでなのでしょうか、
悔い改めて道に立ち帰った義人は打ち散らされ、
悪人どもがわがもの顔に再び権力の座に就いています。
速やかに私たちを贖い、助け出して下さい。
歎き、悲しむわが民を癒し、
疲れ、涙する人々を力づけ、
頑なな者どもを罰し、
義人を贖い救い出して下さい。
まことに主は誉むべきかな、
私は日ごと終日、主の大いなる御業を数える。
四方を海に囲まれ、三百年の平和を享受し、
稀に見る美しい島国。
ひとたび黒船の来航で国を開くや、
主は御手をもって我々を高く挙げ、
清を撃ち、ロシアを破り、
その栄光は四方に轟いた。
しかし、私たちが傲り、道を見失ったため、
主の御怒りがそそぎ、私たちは世界を敵として戦い、
無残にも敗れ、国土は焦土と化し、占領の憂き目にあった。
しかし、はかりしれない慈しみの神、主は、
悔い改めた我らを速やかに贖い、再び御手をもって高く挙げ、
世界にも稀な豊かな平和な国としてくださった。
世界のどこに、我らのように短い間に、めざましい復興を遂げた国があろうか。
それゆえに私は知る、
いまこのように苦しみ、歎こうと、
正しく私たちが立ち帰れば、
速やかに私たちはまた高みに至ると。
主よ、御許に立ち帰ります、
砕けたわれらが魂をかえりみてください。
あなたはまことに篩い分けられます、
頑ななものと、へりくだるものとを。
頑ななものを速やかに撃ち滅ぼし、
義人を速やかに取り戻してください。
まことに主は誉むべきかな、
慈しみはとこしえに。