絵本 「ふしぎな十字架」

ふしぎな十字架 (キリシタン昔ばなしシリーズ 2)

ふしぎな十字架 (キリシタン昔ばなしシリーズ 2)


天草に伝わる切支丹の民話。

ある村の庄屋さんの庭に、たくさん実がなる大きな柿の木があって、村人みんなもその柿の実を楽しみにしていたそうである。

しかし、ある格別に寒い年、薪もすべてなくなってしまい、村人みんなが困っている時に、庄屋さんは柿の木を切り倒して、みんなの薪に使うように指示する。

庄屋の息子が木を伐り倒し、薪にしようと割ると、なんと中から十字架の形が出てきた。

人々は驚き、大切に拝むようになった。

しかし、切支丹を快く思わない人が、その木を燃やしてしまった。

周りの部分はすべて焼けてしまったが、十字架の部分だけは色は黒くなったものの、しっかり焼け残っていた。

それで、御堂に安置し、大切に礼拝するようになったとのことである。

庄屋さんが、神様がどんな災難にも、決してくじけてはならぬ勇気とのぞみを私たちにお示しになったのだ、と語るシーンは、なかなか胸にくるものがあった。

鎖国の間、このような民話が語り継がれたことが、すごいと思う。