- 作者: ユリー・シュルヴィッツ,瀬田貞二
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1977/06/25
- メディア: 大型本
- 購入: 4人 クリック: 20回
- この商品を含むブログ (42件) を見る
とても美しい絵本だった。
夜明けの感覚がとても新鮮に生き生きと描かれていた。
普段、気付かないうちに過ごしてしまっているけれど、私たちはどれだけ素晴らしい夜明けを本当は毎朝迎えているのだろう。
ちなみに、この絵本の作者は、ポーランド出身だそうだが、絵本の内容は中国の唐代の詩人・柳宗元の「漁翁」を踏まえて書いているらしい。
絵本にはその詩のタイトルのみで、原文は書かれていないので、以下に参照のために書いて、試みに現代語意訳もつくってみる。
「漁翁」 柳宗元
漁翁夜傍西巖宿 漁翁 夜 西巖に傍(そ)いて宿し
曉汲清湘燃楚竹 暁に芿湘に汲みて 楚竹を然(た)く
煙銷日出不見人 煙銷(き)え日出でて 人を見ず
欸乃一聲山水䖝 欸乃(あいだ)一声 山水緑なり
迴看天際下中流 天際を迴看して 中流を下れば
巖上無心雲相逐 巖上無心に 雲相逐う
(意訳)
漁師のおじいさんが、夜、西の岩陰に沿って野宿した。
明け方には、清らかな水を汲んで、たき火をする。
煙が消えると、日が昇ってきた。あたりには誰もいない。
漁師のおじいさんが歌う舟歌だけが響き、水には山の緑が映る。
空のはてを眺めながら流れを下っていくと、
山の向こうから雲が無心に追っかけてくる。
この詩を本当によく味読して、独自に生かした、すばらしい絵本だと思う。